悲しいのではなく、ただ愛しいだけーー至誠の一周忌に

  1. Family

10月22日、岐阜の至誠の故郷の光明寺で、一周忌の法要を営みました。
2人のおねえさん一家との小さく温かな法要でした。

昨年の10月21日。
森山さんに同席してもらい、医師と面談しました。
左肺に水が溜まっていて、昨日から新しい抗生剤を使っているが衰弱が激しい。
「お二人が一緒にいる時間をできるだけつくります。お姉さんも呼んでください」という医師の言葉に号泣しました。

至誠はずっと眠り続けたままでした。FaceTime越しに語りかけながら、「至誠の望まないことはしないからね」と誓いました。
私は奇跡を信じ続けていましたが、その一方で至誠の声を聞くことはもうないのだとわかっていました。

この2年間は幸せだった。
以前よりずっと至誠と近くにいられた。心を寄せ合って生きてきた。
本音も言えた。

私たちはたくさん話をし、一緒にいることも長い2人でした。それでも衒いというものはあり、本当に言葉に出して感謝を伝え合えるようになったのは、病気になってからだと思います。

至誠も、特に自宅で療養するようになってから、素直に自分の気持ちを口にするようになりました。
「愛しい結花ちゃん」
「そばにいて、手を握って」

どれほど不安で、どれほど切なかっただろうと思います。
私はと言えば、ただただ先を見て日々を過ごすことに精一杯で、闇雲に希望を抱くことをして、至誠の心と向き合うことができなかった気がします。
それを認めるのは、あまりにも辛すぎました。

法要の後、お寺さんの室内にある小さくてきれいな納骨堂の、先に入っているお母さんの横に至誠を納めました。
お母さんと並んで、とても安らかに見えました。
至誠に田舎があって良かったと思います。
お姉さんたちもそばにいますし、安心して私も訪れることができます。

甥がデータ化してくれた
赤ちゃんの至誠とお母さんの写真。
長い時間を経て、
今やっとまた2人一緒にいる。

その日の夜、私はおねえさん2人と、岐阜グランドホテルに泊まりました。
おねえさんたちとは、6月に1週間東川で時間を過ごし、お父さんが言うように、三人姉妹のようになっていました。
いつも明るく前向きなおねえさん達といると、法要の後とは思えないほど安らかで穏やかな気持ちになりました。

おねえさん達と岐阜グランドホテルで、
至誠のことを話しながら食事をした。

ゆっくりと温泉に入り、部屋にマッサージさんを呼んでマッサージしてもらって、その日の夜は久しぶりに朝まで目を覚ますことなく眠りました。
ここのところ、東川にいても眠りが浅く、夜何度も目が覚めるのが普通になっていました。
疲れもありますが、それだけではなく、1周忌を迎えるにあたり心が緊張していたのだと思います。

翌日はおねえさん達と岐阜公園を散策し、菊人形を見たり、歴史博物館を訪れて美濃の歴史を辿ったりしました。
大河ドラマをもれなく見ているおねえさんたちは、歴史にも詳しく、一緒に見ているとさまざまな学びがありました。

とても良い時間でした。

岐阜公園にある織田信長の住居跡。
苔むした石段がきれいだった。

10月26日の命日には、親しい友人たちが集ってくれます。
本当にありがたいことだと思います。

先日、片付けのエキスパートである友人に手伝ってもらい、至誠の服を整理しました。
至誠のステージ衣装は、唯一のお弟子さんである方に使っていただくことにしました。
サイズもピッタリで、謹んでお受け取りさせていただきますとおっしゃってくださいました。

その中には、至誠が多分、1度手を通しただけの、ポールスミスのターコイズブルーのスーツもありました。「徹子の部屋」には何度も出演させて頂きましたが、最後に出た時に着ていたものです。
服を整理することは、重ねてきた時間の記憶を確かめることでもありました。

ポールスミスのスーツ。
衣装はすべて至誠が自分で選んで買い、
手入れをしていつもきれいにしていた。

折に触れ、涙が溢れてくることに変わりはありませんが、それでも「時」は私に優しく、痛みを和らげてくれます。

今は悲しいと言うより、ただ至誠が愛しいのです。

心から思うのは、至誠は私のために東川の家を用意をしていってくれたのだということ。
東川2M houseがなかったら、この1年間をどうやって耐えてこられたのかわかりません。

こうして東京にいても、旭岳の姿が目に浮かびます。

これからも私は至誠と、できるだけ東川で暮らしていきたいと思います。

2018年の冬。
この頃、至誠は髪を伸ばし、
やっと念願のお団子にして楽しんでいた。

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