人は限られた時間を生きているーー父のこと、ミカリンのこと

  1. Family

8月30日は父の命日でした。
あれからもう4年になるのだと、日記を読みながらあの日のことを思います。

庭の花を飾り、キャンドルつけて祈る。
写真は、母が亡くなる半年前、
最後に来た旭川の、「喫茶 ちろる」で。

2019年8月28日の夜、痛みを和らげる注射を打ってから、父は意識を戻すことなく、30日の夕方、静かに境を越えていきました。
私と弟は三日間、父に寄り添い、たくさんたくさん話しかけ、最後は、私たちがベッドの傍にいるときを選んだかのようでした。

意識がある間、父は何度も何度もありがとうを繰り返しました。

父のことは以前、ブログにも書きましたが、4月に入院してからわずか4ヶ月。しかし、その時間はとても貴重な時間でした。
人は尊厳を持って限られた時間を生きるのだと、父の姿から教えられました。

心から尊敬できる父でした。振る舞いも言動も、1度も私を幻滅させることはなかった。
静かに強く、真っ当に生きて、その姿は全くタイプが違うけれど、至誠とも重なるところがありました。

母の看病からの最後の3年間がなければ、父との関係は全く違ったもので終わっていたと思います。
あの3年間があったから、看病、介護という時間があったから、弟も含めて私たち3人は、また家族に戻っていくことができました。

クルーズでの父と母。
2人ともとてもおしゃれだった。

そして、2023年夏。

この夏のいちばんの出来事は、友人のミカリンが犬のシルフと東川に来てくれたことです。

5月1日の突然のがん告知、そして緊急手術という診断。複数のセカンドオピニオンをとりましたが摘出手術しかない、という医師の言葉に、敢えて違う道を選んだ友人。その辛くて長い道のりを並走しながら、まさかこの夏、東川に来てもらえるようになるとは、思ってもみませんでした。

食生活も暮らし方も運動もガラリと変え、それをストイックに続ける中で体調を維持している友人は、自分で車を運転して、黒いラブラドールのシルフと八戸-苫小牧間のフェリーを使って、東川にやってきました。

彼女とシルフとの数日間は、その一瞬一緒がギフトでした。

シルフ、7歳。
東川2M houseにいることが
とても自然だった。

特別なことをしなくても、ただ普通にご飯を食べ、話をし、散歩をし、それだけのことがどれほど輝いて見えたことか。

そして、私のInstagramやFacebookを通してミカリンのことを知ってくださった東川の皆さんも、とても温かく迎えてくれました。
行く先々で、「ミカリンさん?」
と声をかけてくれて。
いずれ、東川に住みたいと言う彼女は、それをとても喜んでいました。

途中、ミカリンの家族がキャンピングカーでやってきて、道北を5日間くらい家族旅行して、また東川に戻ってきたミカリン。

ミカリン一家。
家族全員、東川2M houseに宿泊経験あり!

最後は、2人と1匹で美瑛のコノンの森に行き、ブルーベリースムージーとマフィンを食べ、そこでミカリンと別れました。私たちの美しい夏の最後にふさわしい場所でした。

普段は意識することがないけれど、人は誰でも限られた時間を生きています。

父のこと、ミカリンとのことを通じて、「限られた時間」を思った8月でした。

時は止まることなく、流れていき、それを止めることはできません。
だからこそ、日々を大切に生きたい。
ひとつひとつのことに、精一杯向き合って、少しだけ丁寧にと心がけて生きたい。

残りの時間がどれくらいあるかは、例え健康であったとしても、誰にもわからないのですから。

今夜は雨の東川です。


ミカリン、いつも待っているよ、東川で。

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コメント

  • コメント (2)

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    • md
    • 2023年 9月 25日

    Yuka-san はじめまして。
    ブログコメントからのメッセージ失礼いたします。

    私の友人に、マジシャンがおります。
    彼は、1984年、ラスベガスのマジック大会で、
    Yuka-sanと至誠さんにお会いしたそうです。
    先日、話の流れで日本のマジシャンの話になったさい、
    至誠さんの訃報をそこで初めて知り、大変悲しんでおりました。

    彼は、Yuka-sanが元気にしているかどうか気にしておりましたので、
    アメリカ人の彼の代わりに、日本語が話せる私が、
    こちらで連絡を差し上げた次第です。

    彼はその大会のクロースアップ部門で、優勝しており、
    Yuka-sanや、他の出場者と一緒に写っている記念写真があります。
    お手数ですが、私のメールアドレスに返信いただければ、
    そのときの写真を共有したく思います。

    なにぶん、昔の話なので、Yuka-sanが彼のことを覚えているかはわかりませんが、
    お時間あるときに返信いただければ幸いです。

    突然の長文メッセージ、失礼いたしました。

      • yuka-shimoda
      • 2023年 9月 25日

      md 様
      ご連絡ありがとうございました。
      1984年のラスベガス大会、至誠と一緒に行きました。
      その写真をぜひ拝見したいと思います。
      また、アメリカ人の方のお名前を教えて頂けますでしょうか?
      どうぞよろしくお願い致します。

      私のメールアドレスをお送りします。
      yuka514@mac.com

      下田結花

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