心からいたいと願う場所

  1. Family

飛行機が旭川空港に降りて、大きな空と緑の山並みを見たときの感動は、今も変わらない。何度、東京と旭川を行き来しても、ここに戻るたびに新しく心を揺さぶられる。
そして深く深く息をする。

知らず知らず、笑顔になっている。


「帰ってきた」と思う。


小さな赤いリモアのトランクをカラカラと引っ張って、駐車場に停めてある「グレージュ」に乗り、織田邸の丘を走る。滑走路のように空に伸びていく一本道。


そして忠別川を渡ると、東川町に入る。写真の町東川町、の看板を見ると、ただいまとつぶやく。


今でもここに家があることが信じられない。旅人ではなく、住んでいる、ということに大きな意味がある。日々の小さな移り変わりを感じて過ごすことができるから。


今日は夕方の便だったので、もうすぐ日没だ。雲がかかって山が見えない。でも大丈夫。そこに山があることを知っている。


気温は25度。期待していたほど涼しくはないけれど、それでも風が爽やかで心地よい。


家に着くとすぐに庭をひと巡りする。最後の光と競争するように、ブルーベリーやトマト、ルッコラを摘む。


花を摘むにはもう暗い。明日の朝、庭を歩きながら花を摘み、部屋に花を生けよう。

部屋に入ると、真っ先に至誠の写真をトランクから出して棚に置き、水を汲んで供える。


デイジーは終わり、ヒメジオンも終わり近くなったので、草刈りをしてもらった。夏の花、ヒメヒマワリやミョウガ、ジャガイモは残して。


北海道の夏も真っ盛りだ。


東京が嫌いと言うわけではない。けれど、あそこにいると息が詰まる。そして至誠との、濃く深い記憶に打ちのめされそうになる。


今日も私はここに戻ってきた。至誠と一緒に。自分のいるべき場所、心からいたいと願う場所に。


至誠が私のために用意してくれた場所に。

田んぼから見た東川2M house。
眺めるたびに、温かい気持ちになる。

関連記事

【東川プロジェクト】始動!

東川プロジェクト【1】人に出会い、土地に出会う。北海道の東川町に、本気で住みたいと思い始めたのは、2年くらい前のこと。織田コレク…

  • 4752 view

どんな時にも笑いはあるーー再入院の中で

家人の再入院に、多くの方からたくさんのエールを頂きました。本当にありがとうございます。二人とも、その言葉がどれほど力強かったことか・・・。感謝の気持ちでいっぱいです。…

  • 3443 view

今日を淡々と誠実に生きたか?

朝、目が覚めた時、夢を覚えていることはありますか。私はほとんどないのですが、今朝は珍しく夢の最中に目が覚めました。至誠がエア鳩出しをしているのを見て(何も道具を…

  • 2206 view

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。