小さな幸せは日々の中にこそあるーー朗読とモノの名前

  1. Family

朝、6時。家人はすやすやと寝ています。苦しそうでも、痛そうでもない表情にホッとしてベランダに出ると、鉢植えのミニバラがたくさんの蕾をつけていました。


咲きかけの一輪を摘んで、花瓶に挿し、父と母の写真の前に。いつものように、朝のお祈りで1日が始まります。


今朝、このミニバラに名前をつけました。「ミミ」。これからはそう呼びかけます。

父と母。毎朝、水を換え、話しかける。


この間も、多くの方から家人と私への励ましを頂きました。旬のものや滋養のつくものを送ってくださった方も多く、感謝に絶えません。本当にありがとうございます。


昨日、Facebookに昨年の今、2人で訪れたアルテピアッツァ美唄のことをあげました。


【去年の夏休み】去年、7/29の朝、家人の「遠足だよー」という声で目覚めた。東川での2週間の夏休みへ。そして、去年の今日は、アルテピアッツァ美唄へ。思っていたのとは、全然違うこの一年だったけれど、こんなはずではなかった、という言葉は絶対に口にしないと決めている。全てを受け入れ、真っ直ぐに向き合って生きようと決めたから。


自分の中から、すっと出てきた言葉でしたが、「真っ直ぐに向き合って生きる」という言葉に、多くの方が反応してくださいました。そして、そのコメントを読んで、この言葉が改めて、私の中に入ってきました。


家人の状態は、グイグイ良くなっている、というわけではありません。帯状疱疹はほぼ治り、微熱も減り、肺炎も痰の絡みが少なくなってきましたが、食が細く、ヒポクラテススープに少し何か程度の食事が続いています。筋力もなかなか回復しません。室内を歩くにも補助が必要です。


Facebookを遡ると、朝食とお茶ボーイの写真やモリモリ食べていたパスタの写真が、、、。更に遡ると、共に散歩したり、買い物をしたり。3月の桜の頃の、臍帯血移植からの退院当時、驚くほど元気だった姿を見ると、正直、気持ちが弱くなります。


それでも、以前の家人と比較しても始まらない。昨日より、今日が良ければそれでよいと思えるようになってきました。「真っ直ぐに向き合って生きる」という言葉は、そんな中から出てきた言葉でした。


数日前から、私たちの間で、新しい楽しみができました。それはベッドでの朗読です。家人にとって読書はとても疲れること。読みたいと思っても、体力がもちません。そこで私が朗読することに。


とても穏やかで、ゆっくりとした時間です。「東川2M houseのゴロゴロソファでの楽しみが、また一つ増えたね」と家人。


今、読んでいるのは、ショートショートの「泡坂妻夫の怖い話」。直木賞作家だった泡坂妻夫さんとは、マジック仲間として親しく交流がありました。書棚にたくさんの並んでいる本のほとんどはサイン本です。その一部を改めて読み直して楽しんでいます。


小さな子供が寝るときに、両親に本を読んでもらう「読み聞かせ」の形。ただ、「読み聞かせ」という言葉は、なんとなくしっくりこないので、私たちの間では、「ストーリーテリング」と呼んでいます。
モノやコトに名前をつけるーーというのは、以前からやっていました。


ヴィトラのオーガニックチェアのシープスキンバージョンには、うちに来てすぐに「羊のモリー」という名前をつけました。「モリーに座る」というように、日常で使っています。


アルフレックスで出会ったミロコマチコさんの紫の野うさぎの絵は「ノラビ(野のラビット)」。
ハイメ・アヨンのリアドロのピエロの花瓶は「モナミ(友達)」。

リアドロの「モナミ」。
2人で一緒に買ったその記憶と共に。


介護の中で必要なものにも名前をつけました。6月に退院した当初、夜中に必要だった尿瓶は「トム」に。「トム君お願い!」というふうに使っていました。


言葉や名前って、不思議です。形のないものなのに、それによって、励まされたり、明るい気持ちなったりします。


名前をつけることには、3つの効用があると思います。

1.親しみが増す。

2.ユーモアが感じられる。

3.特別な思いを具体化できる。

暮らしって、工夫の連続だな、と思います。どうしたら笑顔になれるか、明るい気持ちになれるか、楽しく過ごせるかーーそれを考え、試してみることの繰り返し。


小さな幸せは、日々の中にこそある。


今日もささやかな美味しい朝食から1日が始まります。

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