「一歩、前進の日」ーー三度目の入院

  1. Family

今日、10月5日、家人は今までとは別の病院に入院しました。


朝10時。病院まで送って行き、病棟の入り口で、お見送りの方はここまでです、と看護師さんに言われ、トランクを押して入っていく家人を見送りました。


今回の入院は、9月23日にこの病院を初診で受診したときからわかっていたこと。ですから、この2週間は私たちにとってバカンスだと思って過ごしてきました。


その間、通院もあり、また、まだまだ感染症に要注意の状態なので、旅行するなどということはなから無理でしたが、自宅で過ごす当たり前の時間が私たちにはいちばん大切でした。

当たり前の朝ごはん、当たり前の買い物、当たり前の散歩。


テレビ電話は使えるとはいえ、向き合って朝ごはんを食べることもまたしばらくないのだな、と思うとちょっと寂しくなります。


けれど、今朝の朝食のときの家人の一言が私を支えてくれました。


「今日は一歩前進の日だね」。


10ヵ月にわたる抗がん剤の治療を経て、1ヵ月で再発。後でわかったことですが、急性白血病の場合、70%の人は抗がん剤だけでは完治せず、再発するのだそうです。


その後、ビーリンサイトという抗体療法での28日間を経て、現在は寛解状態(顕微鏡で見て骨髄の中に白血病細胞が見当たらない状態)。ですが、このままでは完治には至りません。これからは、移植を見据えての治療に入っていきます。病院を変わったのは、移植に対応できる病院に移る必要があったからです。


先日NHKの番組で、「血液のガン」についての特集があり、そこではとてもわかりやすく描かれていました。


白血病の場合の造血幹細胞移植とは、手術を必要とせず、点滴によって行います。肉親や骨髄バンクから提供される骨髄移植と、赤ちゃんの臍帯血を使う臍帯血移植があります。移植ができるかどうかは、これからの検査と診療次第です。

移植したとしても、完治までには副作用も含め、ハードルは多々あります。


それでも、家人が言うように、今日は一歩前進の日。

そう捉えて、これからも丁寧に日々を重ねていきたいと思います。

病院に向かう車の中で。

関連記事

「確信」の力

宮本輝の「命の器」という本を読み返していて、救われる文章に出会いました。「優駿」という小説を連載していた宮本輝は、何人かの調教師や騎手に取材をします。その中で、…

  • 1388 view

「病室のギャラリー」65枚のポストカード

家人に1日1枚、ポストカードを送り始めたのは、8月に再入院してからでした。急性白血病で、去年の10月から10ヶ月入院して、やっと退院したと思ったら、1ヶ月で再発…

  • 2198 view

人はすべてを忘れてしまうーー五年日記

2019年の元旦から五年日記をつけています。つけ忘れてしまう日もあるのですが、それでも9割方のページは埋まっています。去年の今日のこと、一昨年の今日のことを毎日…

  • 1853 view

緩やかな家族と共にーー小石を偲ぶ会

今日、小石を知る仲間の皆さんがバケラッタで「小石を偲ぶ会」を開催してくれました。バケラッタでのパーティの時、小石はお料理チームに入れていただき、お手伝いをしてい…

  • 2317 view

クリスマス、移植の日に

花はやはり朝の光の中で見るのがいちばん美しい。昨日、届いたクリスマスの花束が、そっと私に微笑みかけます。今日、クリスマスの日は、家人の臍帯血移植の日。…

  • 1097 view

意志の力、家の力ーーリハビリの日々

家人が退院して3日が経ちました。帰宅した当初は、一人で立ち上がることもままならず、立つこと、歩くことができない状態でした。急遽、介護保険を申請し、最小限の仮設の…

  • 1966 view

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。


Warning: Undefined variable $user_ID in /home/kozybox/yuka-shimoda.jp/public_html/wp/wp-content/themes/one_tcd061/comments.php on line 148