「美しい未来」しか信じないーー満月の夜に

  1. Family

至誠が人工呼吸器をつけてICUに入ってから10日が経ちました。


中秋の名月、満月。今日の月はいつにも増して輝いていました。


何度か雲に隠れそうになりながら、その度に顔を出し、夜半過ぎにはその雲さえもほとんどなくなっていました。


見えないほど、薄くかかった雲に月の光が反射して、虹色の美しいサークルができています。この先、こんなふうに月を眺めることはあるのだろうかと、ふと思いました。


とても長い時間、月に祈っていました。


Facebookにあげたら、たくさんの方たちが一緒に月に祈ってくれました。この思いが届かないはずがない、、、。


一昨日、iPad越しに至誠に会いました。コロナ対応のため直接の面会はできません。けれど病院に行くと、待合室からiPadのFaceTimeで様子を見せてくれます。呼びかけると、瞬きでyesと何度も答えてくれました。


気管挿管し、鼻からも管を入れ、身動きもできず、声も出ない。それなのに一生懸命固く目をつぶって私に意思を伝えてくれる至誠。


私のために生きて。


人生はなんと試練に満ちていることでしょうか。それでも人は生きていかなければならない。


先のことを思うと、不安と恐ればかりが湧いてきて涙が止まりません。


そんな私に友人がかけてくれたのは、「先を考えるのなら、美しい先を想像しましょう」という言葉でした。


「美しい未来」。


その言葉に救われた気がしました。


夜が更けて月は高く高く上り、煌々と空にあります。この夜を、私は決して忘れないでしょう。

友人夫妻から届いた花。
いつも優しく見守っていてくれるふたり。