寒かった数日を過ぎ、桜の花が静かに咲き始めました。
爆発するように、梅も桜も全てがいっぺんに咲く北国の春とは違って、東京の春は穏やかに少しずつやってきます。
今朝も近くの桜たちに挨拶しながら、カタネカフェに朝食を食べに行きました。
ベランダのハーブたちは、1週間いなかった間にぐっと伸びて、芽吹きの時を迎えています。緑の命はなんと健やかなことでしょうか。
今日はポカポカのベランダで、このブログを書き、3月30日開催のMLクラブセミナー「織田邸オンラインツアー」の動画をチェックしていました。
収録したものを改めて見ると、1時間ほどの織田先生のインタビューの中に、北欧デザイン史がぎゅっと詰まっていることがよくわかります。
簡単に内容をご紹介するとーー
・フィン・ユールとウェグナーのデザインの違い。
・コア・クリントがデンマークデザインに果たした役割。
・デンマークがなぜ北欧4国の中でデザイン大国となったか。
・北欧4国のそれぞれのデザインの特徴。
・フィン・ユールのデザインがデンマーク家具の中で果たした役割。
・7月23日から東京都美術館で開催される、織田コレクションを中心とした「フィン・ユールとデンマークの椅子」の見所について。
東京都美術館での織田コレクションを中心とした「フィン・ユールとデンマークの椅子」展の詳細はこちら→https://modernliving.jp/shimoda/kizuki_20220314
そして何よりも心打たれるのは、織田先生がおっしゃる「人生の使命」という言葉です。
50年の年月をモダンデザインに捧げてきた人生。次世代の人たちに20世紀の名作を残していくことーーそれが自らの役割であったと今になってはっきりとわかる、と織田先生はおっしゃいました。
私はインタビューをしていて涙ぐんでしまいました。
織田先生が北海道にデザインミュージアムをとの願いを抱えて大阪から旭川に移住し、現在の東神楽町に織田邸を構えてすでに20年になります。
多くの方が応援し、織田先生ご自身も最善を尽くして活動していらっしゃっても、まだデザインミュージアムのしっかりとした輪郭は立ち上がっていません。
現在、東川町に寄贈された織田コレクションは、少しずつ東川町の施設や、旭川デザインセンターで公開されています。しかし数万点にも及ぶ織田コレクションの、それはほんの一部でしかありません。
今回のセミナーは、MLクラブの会員の方向けのもので一般公開は致しませんが、MLクラブは、どなたでもご参加いただけます。お申し込みいただければ、当日この時間の参加が難しくても、直後からアーカイブでご覧いただくことが可能です。
織田憲嗣先生は、今年で76歳になられます。今、直接、織田先生からお話を聞けるうちに多くのことをお聞きしておきたい。書物からだけでは得られないもの、フィン・ユールさんやウェグナーさんに直接お会いし、取材し、長い時間をかけてデザインに向き合ってこられた織田先生だからこそ、見えるものがあるのです。
今回のお話の中には、多くの貴重なエピソードも含まれています。お聞きしていると、フィン・ユールさんやウェグナーさんが実在の人物として私の中に浮かび上がってきました。皆さんもきっとそうだと思います。
私が東川町に家を建てることを決心した理由の1つには、この織田コレクションの行く末を見守りたい。そしてできることならば何かお手伝いをしたいという気持ちが強くありました。それは今も変わっていません。
織田邸はライフデザインミュージアムといっても良い場所です。ヴィンテージの貴重な家具、中には世界に一点しかないものもありますが、それを使って実際に生活していらっしゃる。こんなに美しく暮らすことができるのだと、伺うたびに感動を覚えます。
サステナブルやSDGsが価値観として受け止められるようになりました。しかし、この言葉が一般的になるずっと以前から、ものを大切にし、古いものを使い続け、良いものを選び、それを次世代に残していくことを、織田先生は続けていらっしゃいました。
使い捨てのものとの向き合い方を見直す時代にあって、織田コレクションの存在はさまざまな側面から、私たちに何が人生の、そして暮らしの中で大切なのかということを語りかけてくれます。
1人でも多くの皆様に、織田先生のメッセージが届くことを願ってやみません。
⭐️織田邸は個人邸ですので、一般公開はされていません。オンラインで織田邸の魅力と、織田先生の凝縮したセミナーをお聞きください。
MLクラブセミナー「織田邸オンラインツアー」の詳細、お申し込みはこちら→https://modernliving.jp/shimoda/kizuki_20220224