東川に住み始めて4度目の冬を迎えました。その冬ももうじき終わろうとしています。
ただただ1日を送ることだけで精一杯だった最初の冬から2年目の冬はスキーを始め、3年目の冬は雪の美しさが目に入るようになってスノーシューをしたり。そして、4度目の冬になって、やっと自分のやるべきことが見えてきました。
3月27と28日の2日間、ハースト婦人画報社と東川町の共催で、「東川木工ツアー」を開催しました。
参加者はMLクラブの会員18名。
ほとんどがプロのインテリアコーディネーターや設計の方たちです。
MLクラブは現在、会員数330名。毎月スキルアップセミナーを開催しています。オンラインが主ですが、年に4回ほどリアルイベントも行っており、このツアーもそのひとつです。
今回は、東川町の家具作りを通して、木の家具について学び、東川の木工業者と繋がって実際のビジネスにへの動線をつくることが目的でした。
東川町役場産業振興課の皆様と、東川木工会の皆様のお力添えを頂き、以下のスケジュールを組むことができました。
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【2月27日(木)】
10時 旭川空港集合(前泊の方は暮らし体験館に9時半お迎え)
10時-11時半 織田邸
12時 ランチ(東川のレストラン カフェゼン)
13時半 東川家具工房数社によるセミナー@せんとぴゅあ
15時〜17時半 工房 めぐり(2件)
15時-16時・大雪工房
16時半-17時半・東10号工房
18時 東川木工会との懇親会@きとろんのレストラン(夕食)
20時 解散(暮らし体験館にお送り)
【2月28日(金)】
〜9時 朝食 (ちゃみせの玄米おむすび2個配給)
9時〜11時半 家具工房めぐり(2件)
9時-10時・ウッドワーク
10時半-11時半・北の住まい設計社
11時半 ランチ(東川のレストラン 北の住まい設計社Cafe)
13時 織田コレクション見学@せんとぴゅあ
14時〜16時 家具のメンテナンスワークショップ(・アイスプロジェクト・北の住まい設計社)&工房ツアーフィードバック@せんとぴゅあ
16時 東川2M house見学 &コーヒータイム(ヨシノリコーヒー)
18時 空港にて解散(延泊の方は暮らし体験館へお送り)
⭐️移動は東川町のバス、宿泊は暮らし体験館
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最初は織田邸訪問から。
名作家具が普通に使われている美しい暮らしを拝見することができるのも、これが最後かもしれない、と思うと涙が出そうです、と言う参加者の方も。
今年の秋にはこの家からの移転を決めていらっしゃる織田先生。MLクラブでは何度も訪問させていただき、たくさんのお話を直接お聞きすることができました。今回も、12月に東京・渋谷で開催されるウェグナー展に絡んで「ウェグナーの素晴らしさはどこにあるのでしょうか」とお聞きすると、「誰の真似もしなかったこと。オリジナリティがあるんです」と織田先生は一言で表現してくださいました。

かなりぎっしり詰まったスケジュールでしたが、東川の皆さんのご協力をいただいて、本当に密度の濃い実りあるものになりました。
私自身も大きな学びがありました。
何度も見せていただいたことがある工房でも、こうしてお話を聞くと、改めて気づくことも多く、それぞれの違いもより明確にわかりました。
4社にプレゼンテーションして頂いたのですが、印象に残った言葉をあげてみます。
【大雪木工】長谷川さん。http://www.taisetsu-mokko.co.jp
創業して42年目。箱物製造から始まり、現在はオリジナル30%特注30% OEM 30%の割合。
2015年から小泉誠さんデザインの「大雪の大切プロジェクト」をスタート。
規模の大きな工場と設備、スタッフが整っているため、まとまった「量」を作ることができる。

【ウッドワーク】岡村さん。http://woodwork-h.jp
1995年、特注家具からスタート。キッチン、テレビボード、建具、椅子、テーブルなど、幅広く対応。
フラッシュと無垢材の家具、両方を手がける。
家具の端材を使っての小物も充実。
エナメル塗装も得意。

【東10号工房】清水さん、遠藤さん。https://www.monokraft.jp/e10
「1つずつ設計して1つずつ作る」
スウェーデンのカペラゴーデン工芸学校で出会った清水さん(設計とデザイン)と遠藤さん(家具職人)のお二人の工房。
「暮らしに寄り添ったものづくり。本当に必要なものを長く使い続ける」。

【北の住まい設計社】秦野さん。https://www.kitanosumaisekkeisha.com
1685年創業。「環境に負荷をかけない家具作り」。
北海道産の無垢材のみを使う、石油系溶剤を含まないエッグテンペラでの塗装、ポケットコイルを使わないベッドマットレス、など。
職人の手仕事を大切にし、流れ作業ではなく、1人の職人が組み立てる。


最後のフィードバックタイムで参加した皆さんからご意見やご質問をいただいたのですが、多くの方がおっしゃっていたのは、東川の木工家具に関わる方たちの熱い思いと姿勢に感銘したこと。
東川の家具とその思いを、お客様に伝えていきたいということ。
それとともに様々な場所で出会った東川の方たちがとても温かかったということでした。
東川の家具についてももちろんですが、東川町のファンになってくださった方がたくさんいました。
プロのインテリアコーディネーターはお客様に家具をお勧めする立場にあります。
本当に自分が良いと思ったものだけを勧めたい気持ちは誰にでもあると思います。
けれど、日常の仕事が忙しくじっくり学ぶ機会はなかなか持てません。
今回は、1泊2日ということもあり、何度も各業者の方達とお顔を合わせる機会を持つことができました。
きとろんでの懇親会では、吉原課長はじめ産業振興課の皆さんと、家具業者の方にもご参加頂き、会話が盛り上がっていました。

また、オイルとソープのワークショップも貴重な時間でした。
オイルはアイスプロジェクトの小助川さんが、ソープは北の住まい設計社の秦野さんが実演してくださいました。
実際に見ると、お客様にも説明できますし、無垢の家具の扱い方が分かり安心です。
今回のツアーを通して、私ができることはこういうことだったんだ、と改めて思いました。
人と人をつなぐこと。
全国と東川をつなぐこと。
インテリアのプロと東川の家具をつなぐこと。
東川に住むようになったのは、私の人生の中で最大の幸福だったと思います。
でもそれは自分だけの幸いではなく、誰かのとっての幸いにもなって欲しいーー。
(株)2M houseを東川で起業したのもそのためです。ですから私は仕事としてもプライベートでも、「つなぐ」ことをしていきたい、という思いを新たにしています。