7days book cover challenge 【2】「西の魔女が死んだ」

  1. Lifestyle

〈2日目〉「西の魔女が死んだ」(梨木香歩)ーー「庭の時間」

NYのアーティスト、Mariko Dozonoさんから7days book cover challenge のバトンを受け取った。この企画では、本の内容や批評を語らない、というのが約束。でも、選ぶにあたってはいろいろなことを考えたし、それはとりもなおさず、今の自分とこのコロナの状況を考えることにもなった。だから、7days book cover challenge で選んだ本について、ここで語ってみたいと思う。

7冊を選ぶにあたっては、まずテーマを考えた。本は私の生活の一部で、お風呂に入る時、ベッドのそば、リビングの一角に本がないということはない。8年前に自宅をリノベーションするときに、思い出のものや衣類、長年とっておいたものは思い切って処分したが、本だけはすべて残し、収納できることを優先したほどだ。だから、本の数はかなりある。その中から選ぶにはテーマが必要だと思ったのだ。

今回、テーマとして設定したのは「今、大切にしたいこと」。この特別な状況にあって、誰もがそのことを考えたのではないだろうか。かつて必要だと思っていたものは、外出しない日々の中では不要となり、その一方で、見落としていたものの価値に気づく。

本のタイトルの後に、この本から得られる「大切にしたいこと」を書いた。

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〈2〉「西の魔女が死んだ」(梨木香歩)ーー「庭の時間」

日に日に閉塞感が高まる中で、自宅の小さなベランダは私にとってかけがえのないスペースだ。ロックダウンという言葉が聞こえ始めた頃、私が真っ先にしたことは、ベランダに置くハーブの苗を買うことだった。

私のインテリアとの出会いは、初めてイギリスを訪れた1991年のこと。インテリアと同時に、庭で過ごす時間の豊かさに魅せられた。イギリスの人たちにとって、庭は一つの部屋だった。

私の小さなベランダでさえ、日々の料理を彩る緑や目に優しいささやかな花を与えてくれる。そしてベランダでの朝食は、こもる日々の中で「至福」と言っていい。

この本の舞台は日本だが、「西の魔女」と呼ぶイギリス人の祖母の暮らしは、イギリスそのもの。暮らしに対する姿勢、庭との関わり方、自然との距離感。「豊か」という言葉でしか表現できないゆったりとした時間の流れと共に、心に残るのは祖母の揺らぐことのない姿勢である。

野苺のジャムを作る場面がある。野苺を摘み、庭で火をおこし、大きな鍋でジャムを煮る。自然の恵みをもらい、それを生かし、労働によって喜びを得る。その景色はとても鮮やかだ。

人は常に自然を欲している。光、風、温度は変化し続ける。だから人は庭での時間に飽きることはない。庭には間違いなく、「幸せの瞬間」がある。

この本を手に取ったなら、あとがきも読んで欲しい。

「ただシンプルに素朴に、真摯に生きる、というだけのことがこれほど難しかった時代があっただろうか」

「私たちは、大きな声を持たずとも、小さな声で語り合い、伝えていくことができる」

かつてない非常事態宣言のSTAY HOMEの中で、この梨木香歩さんの言葉が切実に、深く深く染みていく。

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