2021年。あけましておめでとうございます。
今年最初の1日を、私はマティスのジャズと共に過ごした。
この大きな本を買ったのはいつのことだったか。インテリアとして飾ってあり、実は中をじっくり見たことはほとんどなかったのだけれど、新年のこの日は、ゆっくり眺めるのにとてもふさわしい気がした。
私たちの2拠点生活、東川プロジェクトもいよいよ大詰め。2月には竣工の予定だ。
どんなインテリアにするのですか、とよく聞かれるのだけれど、ものすごくシンプルでものすごく色がない空間になると思う。多くの木の色と、グレーと白と黒。壁にかけるのはモノクロの写真かエッチングと決めている。
今までたくさんのインテリアを見てきたし、自分の家でも、撮影でもトライアルを重ねてきた。
インテリアは本当に楽しい。
けれど東川プロジェクトで、主役になるのは圧倒的な自然だ。約20メートルにわたるガラスの開口の向こうには、一面に畑と田んぼが広がる。
その景色の前では、ほとんどのインテリアは太刀打ちできない。それほど力強く、そして色に溢れている。
だから家の中は無彩色にしようと決めた。
ただ1つの例外、それは1番奥にあるゲストルーム。たくさんの方に、東川の暮らしを体験してほしいから、ベッドを2つ入れたゲストルームを作った。この部屋だけは色があっても良いのでは、と思う。むしろゲストに合わせて色を変えたい。
その時、ふとこの本のことを思い出した。マティスのジャズは、マティスが色紙を切り抜いて貼った作品集だ。色と線が一体化した切り絵という手法。
その色の鮮やかさ、その形の自由さ。
この本は1ページ1ページが切り離されているので、額装できる。オークのシンプルな額縁に入れたらきっと映えるだろう。
2021年元旦。
1枚1枚、ページをくりながら、どのイメージを選ぼうかと考えるのはとても贅沢な時間だった。
去年のお正月の日記を見ると、毎日家人の病院に通っていた。
家人が入院をしたままの2度目のお正月。
去年の12月25日に臍帯血移植をした家人は、順調に経過しているけれど、そろそろ反応が出始めている。
髪の毛が抜け、発熱し、お腹の状態も安定しない。食欲もない。すべて想定される症状ではあるのだけれど、それでもその時々で一喜一憂してしまう。
私たちにとって、東川プロジェクトはとても具体的な身近な夢だ。そこでの暮らしを思うと笑顔になれるし、頑張れる。
5年前には思いもしなかった2拠点生活が今、目の前に来ている。桜が咲く頃、家人と東川にいる。そしてこのマティスのジャズをゲストルームにかけてお客様を迎える。
夢は具体的であるほど美しい。
2021年、光にあふれた日々が重なっていきますように。
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