岐阜から出てきた至誠のお姉さんと、病院に面会に行きました。特別に許可を得て短い時間だけ、お姉さんも至誠に会えることになったのです。
至誠は上にお姉さんが2人いて、末っ子長男。今回、上京してきたのは2番目のお姉さんです。上のお姉さんは体が弱くて大事にされ、下の弟の至誠は跡取りなので大事にされ、その間ですっかり元気に育ったという2番目のお姉さん。
小さい頃、ビービー泣き虫だった至誠を叱り飛ばしてくれた、威勢のいいお姉さんです。
面会に行った時も、「いつまで寝てるの。早く目をさまさんといかんよ」と喝を入れてくれました。
至誠は眠っているように見えるけれど、口を動かし、まぶたも少しだけ動かしてくれました。お姉さんの声がしっかり聞こえていたのだと思います。
至誠の鼻筋の通った顔は、おじいちゃんの庄太郎さん似だとのこと。
いつも足にゲートルを巻いて鎌を手に持ち、部落の草を刈って歩いたという庄太郎さん。人を笑わせるのが好きだった至誠の性格も、庄太郎さんから引き継いだのかもしれません。

「イケメンだったよ」とお姉さんの言葉。
2番目のお姉さんと至誠は誰が見ても、姉弟とわかります。
至誠が高校生の頃、こたつに入っていたらお姉さんのカツラがあったので、試しにかぶってみたところ、窓の外をお母さんが通り掛かって、すっかり勘違いしてしまい、お姉さんの名前を呼んだのだそうです。至誠は困って、カツラを取り「俺だよ!」と振り向くと、お母さんはびっくり仰天!したそうです。
至誠のお父さんは白寿(99歳)で、きちんとした手紙をくれるくらい今も元気でいます。郵便局の定年退職後始めた書道塾を70過ぎまでやり、95歳まで畑に出ていたというお父さんです。
「お父ちゃんより先に行ったらいかんよ」と、お姉さんは再び、至誠に喝を入れました。
家族ーー連綿と繋がり、離れていても決して切れることのない思い。その記憶に常に新たな記憶を重ねていきながら。

至誠に家族がいて良かった。
至誠のお姉さんと、たくさんたくさん話をしました。互いに、至誠のことを語り合いました。
お姉さんとのこの時間は、「至誠からのギフト」に違いない、と思いました。
ありがとう、至誠。
たくさんの人が至誠のことを思っているよ。
Day3

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