至誠と共にーー1分でも長く、笑顔でいよう

  1. Family


朝6時。病院からの電話で目覚めました。すぐにタクシーで病院へ。


不整脈が多く、血圧も測定不能なほど下がったとのことでしたが、私が着いた時には、少し落ち着いていました。


許可を経て、5分ほど病室に入りました。至誠はすやすやと苦しそうな様子もなく眠っています。


肺に二酸化炭素が溜まり、自然昏睡という状態になっていると、先生にお聞きしました。


手を握り、頭を撫でながら、至誠にたくさんたくさん語りかけました。時々、口をパクパクさせたり、瞼を動かしたり。目を開けることはありませんが、私の声ははっきり聞こえているのだな、と感じます。


こんなに頑張ってきたのに。白血病が発病してから2年。至誠は一度も嘆いたり、愚痴を言ったりすることもなく、淡々ととそれを受け止め、私にはいつも明るい顔を向けていました。


今年、家で療養している時、初めて聞いたこと。最初の年、無菌室に隔離されて、自分で冷凍のパスタをレンジで温めて食べていた時、悲しくて悲しくて涙が出たと。それが、唯一、私が聞いた至誠の嘆きでした。


昨年、8月に再発した時、たった一言「ごめんね。病気になって」と言った至誠。それでも、入院するまでの数日間、「このことは、置いておこう」と、散歩をし、食事をし、映画を見て普段と変わらない笑いのある日常を過ごしていました。


今の至誠は本来なら、家族が病室に泊まり込むような状況ですが、コロナ禍でそれもできず、病院を出ました。


私にできるのは、家で電話を待つことだけです。
できるだけ、いつものように、入っているスケジュールも極力こなしながら過ごすしかありません。夜には、岐阜のおねえさん2人も東京に着く予定です。


「あなたに今、できることは1分でも長く笑顔でいることよ」少し前にお会いしたある女性の先輩の言葉です。


至誠との時間を大切に、できるだけ笑顔で過ごしたいと思います。

Day6


バケラッタのクリスマスパーティで。
至誠はいつもお料理担当だった。