今年も、この本を再読しました。
もう何回読み返していることでしょうか。この季節になると決まって本棚から取り出し、クリスマスまでの間に読むのが恒例になっています。
「冬至まで」(ロザムンド・ピルチャー)
出版されたのは2000年。おそらくピクチャーの最後の長編だと思います。
この本は私にとって、再生の物語。
毎年読み返すたびに、心に残る言葉は違い、その時々の自分を反映しているようにも思います。
今年心にとまった言葉は、この言葉でした。
妻と子を失い、喪失から立ち直れないオスカーに、牧師のピーターはこう語りかけます。
「人生は甘美です」とピーターは続けた。「痛みを超えたところで、人生は甘美なまま続いていきます。基本的なものはそのままなのです。うつくしいもの、おいしい食物、友情、愛と理解の泉は。」(「冬至まで」より)
今日は冬至。日の出を見たくて早く起きました。
雲ひとつない空が次第にオレンジ色に染まっていき、ある瞬間に室内の壁が鮮やかに色づきました。
日の出でした。
今日から昼が少しずつ長くなっていきます。時は春に向かっていくのです。
春。
それは家人が日常の生活に戻れる日。
私たちが東京と東川を行き来して暮らせるようになる日。
FaceTime越しではなく、当たり前に一緒にご飯を食べられる日。
臍帯血移植の日まであと5日。冬至の朝は、祈りの朝でもありました。