「病室のギャラリー」65枚のポストカード

  1. Family


家人に1日1枚、ポストカードを送り始めたのは、8月に再入院してからでした。


急性白血病で、去年の10月から10ヶ月入院して、やっと退院したと思ったら、1ヶ月で再発。再入院の重さを、少しでも和らげたくて始めたポストカード。もう60枚以上、投函しました。


展覧会に行くたびに買い溜めたポストカードが、箱にぎっしりありました。写真、古典絵画、印象派、フェルメール、ウィリアム・モリス、有元利夫、、、、。その中から、1週間分の7枚を選び、本の形の箱に入れておきます。


夜、寝る前にそこから1枚選び、それに合う切手を選んで貼り、手紙を書くのです。
ほんの短い文章だけれど、1日、2日後に届くカードは、FaceTimeやメッセージとはまた違ったものとして、家人に響いているようです。


10月5日に別の病院に3度目の入院をして、1ヶ月が経ちました。28日間連続投与のビーリンサイトも、あと3日で終わります。


臍帯血を取り寄せました、と医師。家人は12月の上旬には、臍帯血移植を受ける予定です。


ある日思いついて、簡単でかさばらないポストカードスタンドを作ることにしました。名刺大の紙を三角形に折って、切り目を入れ、止めるだけ。不要になれば、すぐに捨てられるから邪魔になりません。


そのスタンドを使って、家人は届いたポストカードを窓際に並べていました。看護師さんが「ギャラリーみたいですね」と。


そう、病室の小さなギャラリー。


どんな時にも楽しみはあり、どんな所でも設えはできるーー。


ポストカードに言葉をのせて、今日もその1枚を投函しに行きます。