限りある命を思うーー東川の2M houseの桜

  1. Family

東川に美しい春がやってきました。

北国の春はいつも爆発するように一気に花開きます。
水仙が咲き、クロックス、スイセン、モクレン、そして桜。
この辺では、ソメイヨシノは見かけず、エゾヤマザクラという少しピンク色の桜がほとんどです。
木によって花びらに濃淡があり、白っぽい桜もあればピンク色の濃い桜もあります。

東川2M houseには2本の桜の木があります。
道路に面した1本は、少し淡い色。
そしてリビングの正面にある桜の大木はほんのりとしたピンク色です。

樹齢はどれくらいなのか分かりません。
キトウシ森林公園の桜が50年くらいと言うことなので、その大きさと比較すると、80年くらい経っているのかもしれません。

5月1日、うちの桜もほぼ満開になりました。

庭のエゾヤマザクラ。

そしてこの日の朝、号泣する友人からの電話で、彼女の病気の病理検査の結果を聞きました。
本当に辛く悲しかった。
彼女のこれからの厳しい闘病生活や、心の不安や恐怖を思うといてもたってもいられない。
けれど、できるのは、その不安を少しでも補えるよう、メッセンジャーで頻繁に言葉を返すことだけでした。

そして、至誠の白血病を知ったときのこと、再発したときのこと、その後の長い闘病生活や最後の時のことがフラッシュバックしてきて、その日、私は一日中泣きました。

命は限られた時間しかない。

それは誰もが背負っている宿命です。日々の暮らしの中では見てみないふりをしているけれど、その事実は決して変わることはありません。

至誠の時もそうだったけれど、今この一瞬一瞬をどうやったら流されずに留めることができるのだろう。どうすれば、本当にこの時を大切に生きた、と思うことができるのだろう。そう思わずにいられない。

窓の外の桜は今にも散り始めるかもしれないーーその時、この桜を1人でも多くの人に見てもらいたいと思いました。
もう深夜でしたが、急遽インスタとFacebookに「5月2日、桜オープンハウス」のポストをしました。
たまたまこれを見た方だけでいい。来られる方だけでいい。はじめての方でもいい。この美しさを一緒に愛でられればそれでいい。
この桜を来年見られるかどうかわからないのだから、と。


5月2日の午後、15時から夕陽が沈むまで、13名の方が桜オープンハウスに訪れてくださいました。札幌や留萌からの方、たまたま名古屋から北海道へいらしていた方、東川にお住まいの方、旭川の方、、、。ほとんどが初めての方でしたが、とても自然に、好きな場所で、それぞれお話しし、過ごして頂きました。
そして最後に、残っていた方と東川の夕陽を見ました。いつにも増して美しい夕陽でした。桜の花がオレンジ色に染まっていきました。

みんなで桜越しに沈む夕陽を眺めた。

オープンハウスの朝、私は旭川の施設にいる93歳の大叔母(私の旭川の祖母の弟のお嫁さん)のテイ子おばちゃんを迎えに行き、東川の家に連れて来ました。
1時間ほどの滞在でしたが、窓際のモリーに座って、テイ子おばちゃんは桜を眺め続けました。

テイ子おはちゃんは何度も何度も言った。
「私、幸せだね」。

普段外出することのない大叔母にとって、真っ青な広い空やひときわくっきりと見える真っ白な大雪山を見ることも特別なことでした。
車でも桜を眺めながらも、テイ子おばちゃんは、ずっと語りました。


自分が生まれて14日目で母親が亡くなったこと。実家は入沢果物店で、父親は再婚せず、18歳年上の姉に育てられたこと。優秀だった姉は北電に勤めたけれど、妹のために結婚しなかったこと。その姉を最後まで看取ったこと。
大叔母の生きてきたほぼ1世紀という時間は、私の中にしっかりと残りました。

桜を背景に。
来年もまたこの時間を持てますように。


5月5日。桜はもうほとんど葉桜になりました。テラスのソファに座っていると、花吹雪が降りかかってきます。
桜は散る時もまた美しい。


白血病だった至誠が臍帯血移植をし、長い闘病生活をしていた時、「桜が咲く頃には、、、」という医師の言葉が私たちの希望でした。そして、その言葉どおり、2021年の3月19日に至誠は退院し、一緒に東京の家の近くの桜を眺めながら歩きました。それが2人で見た最後の桜になりました。

2021年3月24日。
至誠との最後の桜散歩。
至誠も桜が大好きだった。


桜は、だから、どんな時も涙なしには見られない。


それでも。。。今散りゆくこの桜を私は美しいと感じることができます。


人は生まれた時から、限りある時間を生きています。病気の友人も至誠も私も、みんな同じ。


今年の桜よ、ありがとう。


来週にも再手術を受ける友人を心に抱きながら、「明日はきっと良い日になる」と強く信じて生きたいと、今、心から思います。

来年もこの窓のそばで咲いていてほしい。

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