幸せは日々の暮らしの中にーー2週間の一時退院

  1. Family

12月1日、家人は4度目の入院をしました。

昨年10月に、急性白血病と診断されてから1年と2ヶ月。長い道のりが続いています。

ビーリンサイトという抗体治療が一段落し、休薬期間で一時退院したのは、11月16日のこと。

自宅にいた2週間、家人は体調も全く問題なく、食欲もモリモリで、毎日おいしいおいしいと言って笑顔で食べていました。
コロナ感染が増えているので、公共機関や人の多い場所は極力避け、家とその周辺で過ごしていましたが、私たちにとってはそれはとても充実した豊かな時間でした。

今のマンションに住み始めて、もう28年くらいになります。
この街は私たちにとってのホームグラウンド。特に家にいる時間が長かった家人は、いつの間にか商店街に、いくつかなじみの店もできていました。
退院して久しぶりにお昼ご飯を食べに行くと、何人もの方が声をかけてくださいました。

その中でも、週に2回は必ず行っていたのが、カタネベーカリー&カフェとごはんごはん。

ごはんごはんは6席のカウンターだけの小さなお店ですが、栄養バランスの整った定食を丁寧に作っている店。
ここではご近所情報のやりとりもあって、とても心和む場所です。
あけみさんとゆうこさんという2人の女性が、週の半分ずつ厨房を担当しています。

お肉とお魚半分ずつの定食も。

カタネベーカリーのパンは家の常備食。そしてカフェのランチは私たちの週末コースでした。

カタネカフェの日替わりランチの中に、ベトナム風和え麺、ボブンというのがあります。
家人がこれをいたく気に入って、ほぼ日の連載に「愛しいボブン」というエッセイを書いたこともあるほど。
1ヵ月か2ヶ月に1度、いつ登場するかわからない日替わりメニューの1つ。

この日のランチは鶏のビネガー煮。

私はサラダニソワーズ。

ごはんごはんのあけみさんが、「小石さんが入院してから、ボブンは1度も出ていませんよ」と言うくらい、家人の熱烈オファーメニューでした。

家での家人は、以前と変わらず、クルクルとよく動き、洗濯や洗い物の家事をこなしてくれました。
ただ、料理だけは手順を忘れてしまった、、、と私に任せきり。

リモート中心の仕事になっていることもあり、一緒にいる時間を長くとることができましたし、朝昼晩、共に食事をすることを大切にしました。

「幸せは日々の暮らしの中にある」

今ほど強く、そう感じたことはなかったもしれません。

ご飯を食べること。
散歩をすること。
食料品を買いに行くこと。クリーニング屋さん、薬局、和菓子屋さん、、、。
何気ないこと、ささやかなことが、キラキラと輝いていると思えました。

散歩は毎日の楽しみ。

明日、再入院するという日。カタネカフェのスタッフのおおでさんが「退院したらボブンで快気祝いですね」と言ってくださいました。

12月15日には現在の一般病棟から無菌病棟に移り、放射線と抗がん剤治療を受ける予定です。その後多分、クリスマスの頃に、臍帯血移植をすることになりそうです。

不安がないというと嘘になりますが、今はただプロである医療チームを信じて、自分たちにできることを精一杯やっていこうと思います。

とても多くの方から、さまざまな形でたくさんのエールを頂いています。
この場を借りて深く御礼申し上げます。

iPhoneから送信

関連記事

心からいたいと願う場所

飛行機が旭川空港に降りて、大きな空と緑の山並みを見たときの感動は、今も変わらない。何度、東京と旭川を行き来しても、ここに戻るたびに新しく心を揺さぶられる。そして深く深く…

  • 968 view

「規則正しく暮らす」ための5つの方法

家人は今日も無菌病棟のベッドで、常に3、4本の点滴をつないで免疫反応と戦っています。臍帯血移植によって、他人の造血細胞が定着して血を作っているため、本来…

  • 1372 view

この2日間

10月4日(月)、至誠はICUから一般病棟に移りました。ICUに入って3週間。気管切開を経て、容体の急変の可能性は少なくなった、という判断での移動ですが、人工呼吸器もそ…

  • 2335 view

誕生日と再入院

4月5日の私の誕生日に、多くの方からお祝いメッセージを頂戴し、本当にありがとうございました。ひとつひとつのメッセージを拝見し思うのは、こんなにもたくさんの方と繋…

  • 2170 view

ここは「暮らし方を経験する家」

至誠のおねえさん達の、東川2M houseでの滞在を話すと、多くの方が「疲れたでしょう?」と労ってくれるのですが、そんなことはありません。疲れたとしたら、それは車の運転…

  • 1521 view

コメント

  • コメント (0)

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。