家族の入院

  1. Family

朝はいつもこんなに眩しかっただろうか、と思う。
朝起きて、リビングに出ると、部屋中がキラキラ輝いている。
漆喰の壁に光が踊っている。


ひとり暮らしも4ヶ月を過ぎました。

結婚して以来、これほど長く1人で暮らしたことはありません。
いつも当たり前のように、家人がいて、二人の暮らしが続いてきました。

それが突然変わったのは、去年の10月のこと。
家人は、夕方になると微熱が続き、近所のクリニックを受診。

滋賀に出張中だった私に家人から電話があり、血液検査の結果が思わしくないので、専門病院を紹介されて来たら、骨髄検査の結果、即、入院になったというのです。

骨髄検査、という言葉に不安がよぎりました。
私の未熟な知識を総動員し、検索すると、最初に出てきた言葉が、急性白血病でした。

急性リンパ性白血病。
まずは3ヶ月入院。
寛解には2年かかると思ってください。

医師の言葉は重いものでした。

すぐに無菌室での抗がん剤治療が始まりました。

白血病という言葉は知っていても、実は何も知りませんでした。

本を読み、ネットを検索し、わかったこと。

白血病は血液の癌です。

ですから外科的手術はできません。     

抗がん剤を点滴で投与する化学療法が中心になります。

インフォームドコンセントで医師から伝えられるのは、副作用の可能性の数々。

心はますます沈みました。

そして、1ヶ月、2ヶ月、、、幸いなことに、発熱や薬疹などの副作用はあってもそれほど酷くはなく、家人の治療は順調に進んでいます。

食欲もあり、美味しく食べることができるのは、本当に救いです。

ただ、1ヶ月くらいして脱毛が始まりました。

毎日、病院に行くと、家人の長い髪がはらはらと落ちているのを見るのは、とても辛かった。

私自身、自分の髪に手をかける気になれず、カラーをやめ、髪を短く切りました。

新型コロナの感染の恐れから、最近では病院もとても神経質になっています。

家族の面会も時間が規制されるようになりました。

そして、外泊や1週間の一時退院の予定もなくなり、家人はずっと無菌室です。

今となっては、一番安全な場所とも言えますが。

先のことは考えず、今日一日の、今の時間だけを見て、重ねてきたこの4ヶ月。

そんな中で、家人にとっても私にとっても、明るい話題は東川の家のことでした。

設計が進み、模型ができ、具体的に話が進んでいくのは心弾むことです。

家は希望なのだ、と思います。

数週間前から、家人は以前から書き続けていたコラムの連載を再開しました。

ほぼ日・ライフイズマジック 

小石の無菌室だより

https://www.1101.com/magic/

家人らしく、コラムはクスッとした笑いがあって、読んだ人が安心するものでした。

それを見て、私も家人のことを書く気持ちになりました。

今日、3月12日は私達の37回目の結婚記念日です。

当たり前のことに感謝して、丁寧に日々を過ごしたい。

今はただ、心からそう思います。

病院から見えるビルのイルミネーション。
今日はことさら目に染みる。