北海道のお盆は8月です。
至誠の初盆。でも、至誠はいつも私とここにいるので、特別なことはしません。いつものように庭の花を飾り、いつものように話をする。それでいいのです。
Facebookには2年前の最後の夏休みの写真が上がってきます。9ヶ月の入院生活を経て寛解し、もうこれでこれからは元気になっていくだけと信じて疑わなかった頃。
毎日、2人で車に乗って、いろいろなところに行きました。アルテピアッツァ美唄、北の住まい設計社、オンザテーブル 東川、ちば食堂、せんとぴゅあ2、…、どこに行くというよりも、とにかく2人でいられるだけでよかった。それだけで充分に幸せでした。
私たちは、ここ東川で2週間の夏休みを過ごしました。町の移住者のための家を借り、暮らしているように料理をして。ちょうどこの家が着工したこともあり、途中ではバケラッタの森山さんや杉本さんが打ち合わせに来てくれた日もありました。
今朝の東川はとても美しく、そしてこれ以上ないほど気持ちの良い朝です。今ここに至誠がいて、一緒にテラス朝ごはんを食べていたらと思うと涙が溢れてきます。
昨年の夏は東京のマンションでずっと自宅療養していました。食事もなかなか食べられず、足元もふらついて、ほとんど寝たきりの至誠でした。
そんな至誠を家に置いて、取材やセミナーで家をあけることがとても辛かった。できれば24時間そばにいたいと思っていました。
「ずっとここにいようかな」と言うと、至誠は「人は与えられた才能を生かさなければ、、、」と言いました。
今の仕事やセミナーや講演が、私に与えられた才能かどうかわからないけれど、自分ができることをしていくことが、生きることなのだと至誠に背中を押された気がします。
もうマジシャンとして、ナポレオンズにも未練がないし、元に戻るつもりはない、と言った至誠。
「これから何をしたい?」と聞くと、「そうだなぁ、東川の家で自分の書いた文章を朗読でもして、YouTubeにアップしようかな」。
私は、先日から毎週土曜の夜8時にインストライブを始めました。「キャンドルトーク」と題してキャンドルのやわらかの光の中で皆さんのご質問にお答えしていく時間です。
これをやることにしたのは、友人のアドバイスもありましたが、至誠が言った「自分の才能を生かさないと」と言う言葉が強く残っていたからです。そして、東川の庭で朗読したい、と言った至誠のささやかな望みも。
インスタライブを見た方からは「結花さんの声に癒されます」という思いがけないコメントがたくさん寄せられました。自分の声はなかなか自分ではわからないものだけれど、うれしいなと思います。
それももしかしたら私に与えられた才能なのかもしれません。
今週も、土曜日の夜8時には、インストライブをします。
入院中、いつもオンラインセミナーを見てくれて、あそこが良かった、こうしたほうがもっといいよ、とアドバイスしてくれた至誠。
インストライブをしている時も、至誠が一緒に楽しんで見ていてくれる。そんな気がしています。