毎月、26日の至誠の月命日には、東川にいることにしています。ここでゆっくりと至誠と向き合いたいからです。
昨日は4時に起き、庭のビストロチェアに座って日の出を眺めました。旭岳の稜線を染めながら、あっという間に姿を現す朝日に、時の重さを思いました。
部屋に戻って、至誠の写真の前に蜜蝋のキャンドルをつけました。
今、庭には黄色い水仙がたくさん咲き始めています。庭の花を摘んで部屋に飾るーーそのことにどれほど憧れたでしょうか。スイセンに囲また至誠は、柔らかく微笑んでいます。
至誠、黄色が好きだったな。だから東京の家のリビングのソファも迷わず黄色を選んだ、、、。
蜜蝋のキャンドルが灯っている約2時間、去年の日記を読み、至誠の動画や写真を見て、またたくさんたくさん泣きました。
そして、岐阜のお父さんに手紙を書きました。5月で100歳になるお父さん。至誠がどうやって暮らしていたかを少しでも伝えたくて、月命日には手紙を書くことにしています。
昨年の10月から早半年。気づくと冬を超え、雪は消え、東川でも春が始まっています。
この日、庭の木蓮の花が咲きました。冬の間、ずっと白いコブシだと思っていたのですが、蕾が膨らんできたらピンク色の木蓮でした。固い蕾が、ほどけるように咲いていきます。
この家を設計してくれた森山さんにそのことを報告すると、「コブシよりモクレンの方が華やかで良いね、ピンクっていうのも春のご褒美みたい」というメッセージが。
春のご褒美。?
「神様のいたずらだね」と言った友人もいました。
予想もしていなかったピンクのマグノリア(木蓮)を、私は「希望」だと思いました。
辛いこと、苦しいこと、忘れてしまいたいこと。人生にはたくさんの困難があるけれど、それでも「花はほころぶ」。
冬の厳しい寒さの間、耐えるようにすでに小さな蕾をつけていた姿を思い出します。
至誠の月命日に咲いた木蓮の花。
花は1週間にも満たない命かもしれないけれど、その一瞬一瞬を愛おしまずにはいられません。