不意に涙があふれました。
そのコラという楽器の音があまりにも深く沁みてきたからです。この5年間に逝った父のことを思い、母のことを思い、至誠のことを思いました。
日常の時間の中で、何とかやり過ごそうとしていたことが、1つの曲で鮮やかに浮かび上がってくるーー。
それはまさにそんな瞬間でした。
「母の願い」と題された曲。https://m.youtube.com/watch?v=Do9GqAZgNIk
友人のカワギシ ヒロさんとは、もう何年もお会いしていませんが、Facebookでつながっていて、静かな場所にご自分の手でアトリエを作られたことも知っていました。この動画はそのアトリエで撮られたものでしょう。ご自身の作曲とご自身の演奏による「母の願い」。
以前にも直接の演奏を、何度も聞かせていただきました。
初めて聞いたのは、ジョン レノンのイマジンでした。それまで私が知っていたイマジンとは全く違った、カワギシさんのイマジン。それは、心の底から揺さぶられるような音でした。
コラという楽器の音に触れたのも、その時が初めてでした。ギターのような、ハープのようなプリミティブなその楽器を、カワギシさんは慈しむように弾きました。
悲しむことは、その人を思い出すことなのだと思います。
時薬が辛さを癒してくれるかもしれないけれど、私はそれを本当に望んでいるのだろうか。
多くの人が悲しみを抱え、喪失感を抱え、それでも日々の暮らしの中で生きている。
その人生の中で、悲しみは愛しさ、でもあるのだと思います。
まだ若かった頃、私は愛する人に、自分より先に死なないでほしいと願いました。そんなことには耐えられない、と。
けれど今、私は至誠にこんな辛い思いをさせずに済んでよかったと心から思います。それは、この辛さの中での唯一の救いです。
カワギシさんの「母の願い」を、今、悲しみと共にあるたくさんの方にお届けしたいと思います。
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