東川プロジェクト(二拠点生活のための東川の家)では、初めから決めていた家具がひとつ、ありました。
それは、ニチエスが扱っている屋外家具のブランド、デドンの「オービット」です。
この家具は、家の核ともいえる存在です。冬の間は、L字型の家の要の所に置くことを想定しています。つまり、家の中。
「オービット」は回転でき、キャスターが付いているので移動が楽なうえ、日除けを付けることもできます。
冬の長い北海道では家の中で過ごす時間が長く、それだけに、家の中にさまざまな居場所をつくることが大切、と思っていました。
「オービット」は小さなセカンドリビングでもあり、個室でもあり、という存在。
もちろん、夏にはテラスに出して外でも使います。開口部の大きさも室内のスペースも、またテラスの奥行きのサイズも、この家具を移動することを前提にしています。
8月7日、今日の東川の最高気温は22°C。東京では信じられないくらい、湿度も低く、それはそれは快適です。自然の中ですから、虫もいますし、都会のテラスのようなわけにはいきませんが、家ができたらひとときでも長く、外で過ごしたいと思っています。
テラスの長さは約10m。「オービット」を置いても、まだスペースに余裕があります。そこで、ダイニングテーブルか、ソファかと迷った末に、ソファを置くことにしました。高さのあるダイニングテーブルを置いて、室内からの視線を遮りたくなかったことと、2.7mというテラスの幅はテーブルの両側にチェアを置くには窮屈だったから。ソファでもテーブルの高さを工夫すれば朝食を取るのは問題ありません。
基本的に、大人二人の暮らし。一般的なことには縛られず、自分たちの暮らしの形を想像する中で、自然にそうした結論に達しました。一年中、置きっ放しになる屋外ソファは、自然と馴染むものが良いと思い、チーク素材を選択。
テラスの床材はグレーの石。そこにエイジングしてシルバーグレーになったチークはとてもよく馴染む気がしました。
屋外ソファは、アルフレックス・ジャパンが扱うイタリアのRODAのソファ、「ネットワーク」の片アームに。アームに存在感のあるデザインで、それが魅力なのですが、片アームの方が軽やかな感じ。2 ピースなので、一人がけの部分は動かしてL字型に配置することもできます。
テーブルは少し高めの55㎝のサイドテーブルを2つ、組み合わせて使うことにしました。
さまざまな方に来ていただきたい家だから、開放的にゆったりと、自由に過ごしてもらいたい。屋外家具の選び方にも、その思いが反映されています。
屋外家具は、暮らし方が見えていないと「必然」になりません。私たちは、東京のマンションでもベランダを小さな庭として活用しています。その心地よい経験を東川でも続けたいーー屋外家具はそのための必然の選択でした。